今日では法事や葬儀など仏事で行う事が多いお焼香ですが、元々は古代インドで客人をもてなす際、芳しい香りを室内に焚き込めたことが始まりと言われています。
毎日お風呂に入ることもままならなかった当時では、臭い消しとして香を焚くことは一般的でしたが、嫌な臭いを消す行為が仏教に採り入れられる内に、穢れを落とし清める意味を持っていったと考えられています。
また煙や香りは目には見えずとも消えることなく漂うので、供養の気持ちを焼香の煙にのせればいつか必ず仏様の世界=浄土にも届くと信じて回向の際にも行うのです。
尚、お墓参りの際によく使う棒状のお線香は、江戸時代のはじめ頃に作られ一般的になっていったそうですが、仏さまや故人に香りを捧げる意味は同じです。
さて、ともすると談議になる焼香の回数についても特に決まりはありませんので、ご自身のまごころが伝わるよう行うのが良いでしょう。一回に全ての思いを込めるもよし、仏法僧それぞれを供養する意味で三回行うもよし、その気持ちはきっと仏さまに届き、喜んで下さる事でしょう。
9月は秋のお彼岸の月です。彼の岸(彼岸)にいらっしゃるご先祖さまに思いを馳せ手を合わせる際、お香の薫りにも心を配ってみてはいかがでしょうか?
9月のおはなし ~思いを煙に乗せて~